第32回 日本神経科学大会へようこそ
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第32回日本神経科学大会を名古屋の地で開催します。大会の準備にあたりまして、これまで様々な形でご支援・ご協力くださいました多くの皆様に御礼申し上げます。
本大会では、プレナリーレクチャー、特別講演、時実・塚原賞の受賞講演の他、シンポジウム47企画(231題)、一般口演53セッション(235題)、ポスター発表1,222題と、単独開催では過去最大となる合計1,698演題もの発表が予定されており、大変充実したプログラムとなりました。
日本神経科学学会ではここ数年、使用言語の英語化を積極的に推し進め、大会の国際化に努めてまいりました。その結果として多くの方が海外からも参加していただけるようになってまいりました。本大会では特別プログラムとして北米神経科学会(SfN)、欧州神経科学連邦(FENS)、オーストラリア神経科学学会(ANS)との合同シンポジウム、日本の学術振興会とCanadian
Institute of Health Research(CIHR)の共催セミナー、ドイツ研究振興協会(DFG)との連携による若手セミナーなど国際色豊かなイベントも多数企画いたしましたので、国際的な潮流を体感する機会として是非ともご参加ください。またトラベルアワードにも過去最多の126件の応募があり、その中から厳選された31名の受賞者が参加されます。また実に多くの国際的リーダーの研究者が外国から参加され、シンポジウムなどで発表されます。このように日本神経科学大会が国際的にみても、研究者が自らの最新の研究成果を発表し、情報を得る場として魅力的な存在となりつつあることは、会を主催する者としてこの上ない喜びです。
昨今の脳科学は、様々な意味で社会からの注目される存在になっています。
文部科学大臣の諮問を受けて脳科学委員会が設置され、1年半にわたる議論を経て、「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について」と題する報告書がまとめられ、本年6月に科学技術・学術審議会から文部科学大臣に答申がなされました。その中では「総合人間科学」としての新しい脳科学の在り方が謳われています。そこには生物科学として分子・細胞・神経回路から個体に至る様々な階層での理解を統合して脳の機能を理解しようとする研究の流れとともに、精神神経疾患の病因の理解と治療法の開発に向けた研究、また理工学との連携、人文社会科学との融合を通じて対象とする領域を広げつつある脳科学の現在の姿があります。
本大会は「脳科学の現在」がハイレベルで凝縮された学会です。それではこの大会が、参加された皆様が明日からの研究に向けて思いを新たにされるような刺激に満ちた場となることをお祈りします。 |
第32回 日本神経科学大会・大会長
伊佐 正
(自然科学研究機構 生理学研究所 教授 )
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